2007-03-24
最近の読書
『罪と罰』(asin:4003261356)を読んでます。何でかというと、漫画アクションで落合尚之先生がその名も『罪と罰』という、この小説の現代バージョンの漫画化作品を連載してまして、いいきっかけだし読むか、ってなわけで。いや、面白いっすね。面白いというか、楽しいっていうのとは違う世界だけど。序盤のマルメラードフとかいうおっさんの身の上話で普通に胸元にズンズン重りを押し付けられるので困ります。人間進歩してねえなあ。まだ上巻の3分の1ぐらいなんですけど、中・下と待ち受けてるんですよね、この濃さで。読むさ、読むけどさ。
あと、『十兵衛両断』(asin:4101210411)はもう佳境。『太閤呪殺陣』まで読んだ。半径3クリックぐらいでアラヤマアラヤマうるせぇのでいい加減読まなきゃならないのです。ひどい。ひどく面白い。面白いんです。ほんとに面白いってば。一切前触れなくとんでもないことが起きるので頭のスイッチを切り替えるのが大変ですね。時代小説は普段読まないし、朝鮮の歴史に詳しいわけでもないので、少年漫画的に普通に楽しめてしまったりして意外です。読み終わったらちゃんと感想書くかも分からん。
あと、『涼宮ハルヒの溜息』(asin:4044292027)も読み始め。上記二冊と比べるとスラッスラ読めるのでニュータイプにでもなったかと思います。今のところキャラクター達は相変わらずなので相変わらずなんでしょう。
で、何が言いたいかというと、つまり僕は今、『罪と罰』と『十兵衛両断』と『涼宮ハルヒの溜息』を同時期に読み進めるという暴挙を進行しているわけであります。これをやったことがある人間は他にいるんだろうか。いたら申告してください。お互いdisりましょう。もう脳内は朝目新聞的な素敵ワールドになっているわけで、シベリア柳生の使い手ラスコーリニコフが質屋の脳天ををかち割るのを一人称で解説するキョンとかが何気なく存在します。いろんな人への冒涜だなと書いてて思いました。
2007-01-12
『涼宮ハルヒの憂鬱』,谷川流,角川書店(角川スニーカー文庫)
読書 |
ハルヒ読んだ。

- 作者: 谷川流,いとうのいぢ
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2003/06/01
- メディア: 文庫
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「あんたさ、自分がこの地球でどれだけちっぽけな存在なのか自覚したことある?」
何を言い出すんだ。
「あたしはある。忘れもしない」
涼宮ハルヒは普通だ。
上に引用した台詞を見れば分かるとおり、涼宮ハルヒさんはごく普通の高校一年生です。自分の平凡さに打ちのめされ、特別な存在に憧れ、不思議なことが起こる世界を望む夢見がちな若者です。つまり、涼宮ハルヒは僕であり、あなたであり、誰かです。あるいは僕だったのであり、あなただったのであり、誰かだったのかもしれません。なのに僕らはいつの間にか特別でありたいと思わなくなってしまった。そうあろうとすることを諦めてしまった。
涼宮ハルヒは本気だ。
ところが涼宮ハルヒは諦めない。何が何でも不思議や怪異や超常と会おうとします。その行動が正しいかどうかに関わらず物凄いエネルギーで動くのです。だってしょうがないじゃん、どうやったらUFO呼べるのかなんて誰も教えてくれないじゃん、知ってるんなら教えてよ。涼宮ハルヒはそういう泣き言すら言わない。そんな姿を見て誰が止められようか。そして名台詞は生まれます。
涼宮ハルヒは顧みない。
えー、結論から言いますと、この作品に宇宙人と未来人と超能力者は出てきます。しかしそれを知るのは語り手であるキョンと、本人たちと、読者たる我々だけなのです。涼宮ハルヒはそのことを知らない。つまり涼宮ハルヒの目から見れば相変わらず世界は平和で平凡でつまらない。でも確かに世界が変わっていることを我々は知っている。涼宮ハルヒの本気っぷりに熱を当てられた僕たちは、世界を変えられるかもしれないと思う。いや、もう変わってるのかもしれない。だって世界は僕らに断りもせず変わっていく。毎日会ってるあの人が実は……、なんてこともあるのです実際に。だから僕らは思う。明日朝起きたら、もう少しだけ本気で動いてみようかな、って。
そんな青臭いことを考えられる良いライトノベルでした。
ところで異世界人はどこいった?
このまま出てこないの?
2006-12-14
『Dr.スランプ』完全版(1)~(4), 鳥山明, 集英社(ジャンプコミックス)

- 作者: 鳥山明
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2006/10/04
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こわい…
わたしは自分の才能がこわい…
いやマジですげぇよ千兵衛博士。
前から集めたいなあと思ってたので完全版が出たこの機に購入。なんつーか、面白いのは当然なのでゆっくり読んでいきたいなと思ってます。
で、読んでみて改めて思ったんですけど、アラレちゃんって萌えキャラじゃんねえ?
メカっ娘で、メガネっ娘で、ドジっ娘で、ロリっ娘。欲張り過ぎ。
そんな中でも一番重要な属性は子供だってとこでしょうね。無邪気な子供に他の属性が全部乗ってることでギャグが成立してる感じ。無邪気さとパワーの両立という意味では『餓狼伝』(板垣版)の泣き虫サクラが思い出されるところですけど、怖さと笑いは紙一重ってことですね。
あと割とメタフィクショナルなネタが多くて意外だった。キャラとか絵とかも一流なんだけど、その上でこういう遊び心出されるともうイチコロ。描いてて楽しそうだなあってのが伝わってくる。
何巻まで出るのかわかんないけどこれから何ヶ月か楽しませてもらいます。
*1:アラレ語
2006-12-12
『黒い羊は迷わない』, 落合尚之, 小学館(ヤングサンデーコミックス)

- 作者: 落合尚之
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1997/06/05
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この世界は羊の世界だ……!
どいつもこいつも自分から自分を放り捨てて、誰かに…何かに飼われたがってる奴ばっかりだ!
それに…
その弱さにつけ込んで、人の心をおもちゃにしたがる奴ら!
アララギや! お前みたいに!
何かを信じようとすれば、羊になるしかないんだ!
でも、何一つ信じるものがなくてどうやって生きていけばいい!?
確かなものなんか何もないっ! もう何もわかんないよっ!
僕に 心を与え、生きる勇気を与えたのは並木さんだ。
この世界は僕に心を与えながら心のままに感じることを許さなかった。
僕に生命を与えながら、生きたいように生きさせてはくれない。
どんなに憧れ触れようと求めても、僕を拒んで受け入れてはくれない。
並木さんは僕にとってこの世界そのものだ──!!
好意的な誤解の中で一生 生きていける奴は 幸せさ。
結局 人間は一人なんだ。
引用が長くなってしまいましたが、主人公格の登場人物三人から一つずつ選びました。いやこれ、名作ですよ。本気ですね。もうどうしようもないほどに本気ですよ、この作者は。
あらすじ
カルトによって行われたマインド・コントロールを解除する「デプログラマー(脱洗脳屋)」として伝説的な名声を得ていた曜堂哲夫。彼がデプログラマーを廃業してから2年経った現在、新興宗教ばかりを狙う強盗「羊狩り」が巷を賑わせていて……
そんなところから始まるこの漫画なのですが、いかにも重そうな話ですよね。それが読んでみるとそうでもない。書いてある内容が、登場人物の放つ言葉が、受ける痛みが、きちんときちんと読み手に伝わってくる。そんな丁寧な漫画です。
奥付を見ると1997年に連載されていた作品。失楽園が流行り、猿岩石が歌を歌い、エジプトで旅行者が銃撃され、神戸では小学生が小学生の首を切った年。
にもかかわらず今読んでも全く古臭くない。むしろ面白い。これはテーマに関わらず、漫画として優れているということなのだろうと思います。
そして、これだけの娯楽をきちんとコミックス2巻分に収める技術。
絵に特徴があるわけでもなく、独特な台詞回しがあるわけでもない、それでもこんなに本気が伝わってくる。この作者は本当に「漫画家」なのでしょうね。
そんな落合尚之さんですが、新連載が1月から始まるようで楽しみ。