2007-03-05
チャンピオンREDに自分の嗜好を具現化されたときの感情といったら!
なんか最近自分がぐっと来る漫画のヒロイン像が把握できた気がするんだけど、それがどんなものかというと、「何考えてるかわかんない女の子に振り回される」という至極単純なシチュエーションなのです。具体的に言うと『STAYシリーズ』*1(西炯子)の山王みちるさんだとか、『謎の彼女X』*2(植芝理一)の卜部美琴さんだとか、『弁当を食われる。』*3(id:hatikaduki)の飯田さんだとかそういう系統のシチュエーションにぐらぐらと揺さぶられてしまうことに最近気付きまして。
んで、それとは全く別の文脈で、ここ数ヶ月チャンピオンREDという雑誌を購入しておりまして、まあジャイアントロボ目当てで買い始めたんですけど、もう第6話ですか。ってことはチャンピオンRED買い始めて半年ですか。これくらいになると、最初はよく分からなかった各連載作品の味というか、雰囲気というかそういうのがやっと分かってきたところで「秋田書店の核実験場」「市販されし狂気」といった異名を持つ所以を実感しております。
そんななか、最新4月号から始まった新連載『BLUE DROP ~天使の僕ら~』(吉冨昭仁)がもう、ひどい。
『BLUE DROP』がどんな作品かは性という名の異形 「BLUE DROP〜天使の僕ら〜」 - たまごまごごはんをご覧ください。画像入りで丁寧に解説されてます。
ご覧いただけたでしょうか。
なんだよこれ! 確かにこれはストライクゾーンだけど、そんな変化球打てないよ! ってかストライクゾーンを通過しつつ物凄い回転で胸元に飛び込んでデッドボールだよ! なんていうのかなあ、『謎の彼女X』のよだれってのはギリギリセーフなんだけど、いくらなんでもゲロ吐かれちゃあなあ。しかもこいつSEXするために意図的にやってるんだぜ。ちょっと異形が過ぎる。さらにさらに、この子の正体は性転換させられた男で、しかも親友というツイストサーブ。打ち返す気も起きないよ。
なんで!? こんなオーソドックスなネタがチャンピオンREDにかかるとここまで彎曲させられるの?! なんかどっかから異常なディストーションがかかってる。
なんかこういうのを見ちゃうと、この異常な場であるREDから更にスピンアウトしたチャンピオンREDいちごはどうなっちゃってるんだろうという恐ろしい興味が湧くけどさすがにそれは怖いもの見たさでしかないので読む機会はないでしょう。
来月号楽しみ。
2007-02-16
『鉄鍋のジャン』読んでます
漫画 |

- 作者: 西条真二
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1巻よんでてビックリしたんですけど、ジャンが料理失敗して、裏路地にへたり込んで泣いてんの。「ジャンって泣くんだー!」って。
いや漠然と持ってたイメージがちょっと揺らぎましたよ。料理に対して真剣で、真剣であるがゆえにクカカカカー! なわけですね。いいキャラだ。
2巻では早々と料理トーナメントが始まるわけですけど、最先端の調理機械を駆使する相手に言い放ったジャンの台詞には爆笑した。
一体何回それを試作した
一回か? 二回か!?
料理は経験の蓄積だバカめ!
何千回も何万回も鍋を振った腕こそが上手い料理を作るんだ
お前のデータやマニュアルなんてのはオレの経験のほんの一部でしかない!
ハハハハハ───ッ!
いや圧倒的に正しい台詞で返す言葉もないんですが、ジャンに言われるとなんとも釈然としないのはなぜでしょう。審査員にマジックマッシュルーム食わせて予選通過するようなヤツですよ。いや、それも間違いなく経験の蓄積ですが、ねえ?
2006-12-14
『Dr.スランプ』完全版(1)~(4), 鳥山明, 集英社(ジャンプコミックス)

- 作者: 鳥山明
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こわい…
わたしは自分の才能がこわい…
いやマジですげぇよ千兵衛博士。
前から集めたいなあと思ってたので完全版が出たこの機に購入。なんつーか、面白いのは当然なのでゆっくり読んでいきたいなと思ってます。
で、読んでみて改めて思ったんですけど、アラレちゃんって萌えキャラじゃんねえ?
メカっ娘で、メガネっ娘で、ドジっ娘で、ロリっ娘。欲張り過ぎ。
そんな中でも一番重要な属性は子供だってとこでしょうね。無邪気な子供に他の属性が全部乗ってることでギャグが成立してる感じ。無邪気さとパワーの両立という意味では『餓狼伝』(板垣版)の泣き虫サクラが思い出されるところですけど、怖さと笑いは紙一重ってことですね。
あと割とメタフィクショナルなネタが多くて意外だった。キャラとか絵とかも一流なんだけど、その上でこういう遊び心出されるともうイチコロ。描いてて楽しそうだなあってのが伝わってくる。
何巻まで出るのかわかんないけどこれから何ヶ月か楽しませてもらいます。
*1:アラレ語
2006-12-12
『黒い羊は迷わない』, 落合尚之, 小学館(ヤングサンデーコミックス)

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この世界は羊の世界だ……!
どいつもこいつも自分から自分を放り捨てて、誰かに…何かに飼われたがってる奴ばっかりだ!
それに…
その弱さにつけ込んで、人の心をおもちゃにしたがる奴ら!
アララギや! お前みたいに!
何かを信じようとすれば、羊になるしかないんだ!
でも、何一つ信じるものがなくてどうやって生きていけばいい!?
確かなものなんか何もないっ! もう何もわかんないよっ!
僕に 心を与え、生きる勇気を与えたのは並木さんだ。
この世界は僕に心を与えながら心のままに感じることを許さなかった。
僕に生命を与えながら、生きたいように生きさせてはくれない。
どんなに憧れ触れようと求めても、僕を拒んで受け入れてはくれない。
並木さんは僕にとってこの世界そのものだ──!!
好意的な誤解の中で一生 生きていける奴は 幸せさ。
結局 人間は一人なんだ。
引用が長くなってしまいましたが、主人公格の登場人物三人から一つずつ選びました。いやこれ、名作ですよ。本気ですね。もうどうしようもないほどに本気ですよ、この作者は。
あらすじ
カルトによって行われたマインド・コントロールを解除する「デプログラマー(脱洗脳屋)」として伝説的な名声を得ていた曜堂哲夫。彼がデプログラマーを廃業してから2年経った現在、新興宗教ばかりを狙う強盗「羊狩り」が巷を賑わせていて……
そんなところから始まるこの漫画なのですが、いかにも重そうな話ですよね。それが読んでみるとそうでもない。書いてある内容が、登場人物の放つ言葉が、受ける痛みが、きちんときちんと読み手に伝わってくる。そんな丁寧な漫画です。
奥付を見ると1997年に連載されていた作品。失楽園が流行り、猿岩石が歌を歌い、エジプトで旅行者が銃撃され、神戸では小学生が小学生の首を切った年。
にもかかわらず今読んでも全く古臭くない。むしろ面白い。これはテーマに関わらず、漫画として優れているということなのだろうと思います。
そして、これだけの娯楽をきちんとコミックス2巻分に収める技術。
絵に特徴があるわけでもなく、独特な台詞回しがあるわけでもない、それでもこんなに本気が伝わってくる。この作者は本当に「漫画家」なのでしょうね。
そんな落合尚之さんですが、新連載が1月から始まるようで楽しみ。